クバの葉餅作り体験

与那国島のクバの葉餅作り体験
クバの樹は主に低地や山地に生育し、約15年もの年月を経て高さ15mほどにもなる。
防風林として島を守り、幹や葉は工芸品や道具を作るのに使用する。昔からクバの樹は与那国島の生活の全てに深く関わってきました。
クバの葉餅もまた古くから作られていますが、沖縄県でも、与那国島でしか作られていない伝統的な餅です。現在も体験交流によって新しい世代に受け継がれています。

 餅作りの様子

田原川でクバの水洗い

与那国島のいたるところに、クバ「ビロウ」は自生しているのですが、餅づくりに適した「若過ぎず、歳をとり過ぎず」のクバの葉を集めて来るには、山中を知り尽くしたオジィ達に地の利を仰ぎ、陣指揮を執ってもらい、若者が山奥から切り出すといった具合に先輩から後輩への指導・享受が行われる。
集められたクバの葉は島の水がめ田原川の湧清水で、浸し洗いをしながら2つから3つの大きさに切り分けられる。
クバ餅つくり

水道水でもう一度

形を選別しながら、仕上げのブラシをかけて細かい汚れを落とす。この時までに5分の1は不適合として除外される。もちろん資源に限りある島ですから除外された葉は「扇・玩具」などに利用される。
…牛やヤギのエサにも…
クバ餅つくり

クバ餅づくり体験スタート

生活改善グループなど島の食生活を知り尽くしたエキスパート達に講師を務めて頂き、クバ餅づくり体験が始まります。
子供も大人も、1番の苦労は餅種を入れ込んでクバを織り包み、そして最後の縛りの部分。
なぜなら作り手の性格が結び目に現れるといわれるから。隣の餅を見ては笑い、見られては恥じらいの「厳しい」作業は参加者全員が互いに笑みを浮かべながら進んでゆく。
 
クバ餅つくり

餅をクバの葉に包む

大きさに気をつけながら丁寧に包んでいくのですが、中には選別を逃れて紛れ込んだ大きなクバの葉も。それにしても大きい…この大きさになるまでに10年から15年程度かかるということ。
苦笑いしながら包んでしまったこの餅種は3人前…誰の口に入るのやら。
クバ餅つくり

クバの葉をたたんで行きます

やはり、これがなかなか難しい…。「性格が現れる」のとおり几帳面な人は顔つきがもはや職人のよう。
気のせい?なのか、なぜか大人よりも子供に職人顔が多かった様子。
クバ餅つくり

成形

クバの葉の余計な部分を切り落としながら形を整えていきます。
ここが人が手を加える最後の工程となり、縛り損じ・包装ずれを修正・整形。
クバ餅つくり

大きな蒸し器で蒸す

皆の手で包みあげたとはいえ、なかなかの苦労を経て包み終えたクバ餅を巨大な「シンメー鍋」にて蒸します。
回転釜なんて呼称もこの鍋にはありますが、どちらにしても豪快さが伝わる「巨大な鍋」には間違いない。
与那国島では冠婚葬祭には必ずこの巨大鍋が通りに鎮座し、しかもマイ釜として所有してる人が少なくない。
クバ餅つくり

出来上がり!

蒸しあがるまでの40分程が疲れを癒すひと時。なのに誰一人釜の前から離れず、切れ端で作った扇や教訓ヘビなどを手に出来上がりを待つ。
「出来た!」の掛け声が先か蒸篭に並べるが先か子供達の手がのびる。 
クバ餅つくり

試食

クバの葉を開くとこんな感じです。おいしそう。しかし普段は熱いのが苦手だったはずの子供達がクバ餅に引き寄せられるようにほおばる姿はクバ餅独特の香とともに、癒されるひと時です。
クバ餅つくり