所信表明

公開日 2021/09/21

与那国町長写真

 私はこのたび、過日の町長選挙におきまして町民の皆様から多数のご支援をいただき、第二十一代与那国町長として、町政を付託されることになりました。町長職に就きましてまだまもないところでありますが、その責任の重さをいまさらながら痛感しているところであります。
 もとより浅学非才の身ではございますが、常に初心を忘れることなく一意専心・一期入魂与那国町の発展のために皆様のご期待に沿うよう精一杯努力してまいる所存でございますので議員諸氏をはじめ町民の皆様におかれましては前任者同様格別のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
  さて、就任最初の定例議会に当たりまして、今後の町政遂行に対する私の所信の一端を申し述べ、議員の皆様方のご協力をお願いするものであります。
 私と致しましては、外間守吉前町長の残された数々の足跡を踏まえ、町政の継続性を断つことなく各種諸施策の着実な実行に努め、また、現在策定に向けて取りかかっております次期与那国町総合計画への積極的関与と推進を旨として、新しい与那国町の島造りに取り組んでまいりたいと考えるものであります。また、新庁舎の建設に関しましては、立地場所の選定を含めゼロから早急に取り組んで行きたいと考えています。
 私は、生まれ育ったこの「与那国島」の島づくりを町民の皆様とともに考え、ともに行動し、私のスローガンでもあります「与那国町の再生と創世」を実現すべく、次の7つの政策を柱として今後の町行政に取り組んで参る所存でございます。

まず第一の柱は「島の発展につながる基盤整備」であります。

  これまで、沖縄振興予算等を活用して基盤整備を行って参りましたが、それが必ずしも島の発展に繋がっていないと感じています。これからは島の暮らしの持続かつ成長を促す基盤整備でなければならないと考え、真に必要な事業に取り組んで参ります。
 具体的には、「ICT通信のインフラの整備」「与那国空港滑走路の延長・拡張」「港湾整備」「農業及び畜産用水確保のための地上ダム等の整備」「畜産基地事業による水道工事」等私の政策に掲げてきましたこれらの事業は暮らしを支えるために優先的に取り組む必要があろうかと思っております。     

 

第二の柱は「町民が豊かになる産業の振興」であります。

 与那国島を支える基幹産業である農業の衰退ぶりが目に余る物があります。かつて、与那国島は全て島でまかなえる自己完結型の社会でありました。現在の田原の田園地帯の荒れた姿を見る度に心を痛めております。課題は多々ありますが、荒廃した農業の再生にまずもって取り組み、その先の未来に希望を持てる農林水産業、観光産業等産業の振興に取り組んで参ります。

 具体的には、「既存農家の支援及び新規栽培事業の奨励」「漁業資源の開発調査」「大型農業機械の導入支援」「産学官連携での特産品開発」「観光事業者への支援」「農水産物の輸送補助金増額」等これら島を支える産業を中心にテコ入れし、また、新しい産業・仕事の創出により、町全体の経済のパイを大きくすることによる町民の所得の倍増を目指します。

 

第三の柱は「健康福祉・子育て・人材育成等支援の充実」であります。

  離島の中の離島という厳しい環境下で、子育てや障がいをもつ方、高齢者など社会的に弱い立場の人々が住み慣れた地域で安心して暮らせる社会づくりを目指して参ります。

 具体的には、「出産準備金増額支援」「若者サポート窓口の開設」「障がい者・高齢者が安心して暮らせる福祉のまちづくり」「与那国診療所・特養ホームなど医療介護施設の更なる充実」等、町民全ての人々が健康で豊かな生活が生涯にわたりおくれるよう地域福祉計画等をもとに島づくりを推進していきます。

 

第四の柱は「島の未来を支える人材支援」であります。

 島づくりの根幹は豊かな人材を育てることから始まります。人間性豊かな子供達を育てていくため教育への投資を惜しむことなく、また、家庭環境の差で学習機会に差が出てくることがないように行政がその後押しをしていくことが重要と考えます。

 具体的には、「給付型奨学金等による就学支援強化」「児童生徒の英語教育支援」「与那国島出身者による講演会などの開催」「各郷友会との交流促進」等、学習環境だけでなく次代を担う子供達が深い感動に出会える環境づくりに取り組んで参ります。

 

第五の柱は「次世代へ継ぐ文化・スポーツの振興」であります。

  この与那国島には世界へ誇れる素晴らしい伝統芸能があります。しかし、連綿と受け継がれて来たこの伝統文化が存続の危機を迎えています。中には数十年の間一度も披露されない演目さえあります。今後これらをどう次世代へ残していくのか、文化の荒廃は島の活力そのものを停滞させることに繋がりかねません。

 具体的には、「郷土伝統芸能の継承発展の支援」「全国の大学・実業団関係のスポーツクラブ合宿誘致」「文化財の保存と活用の推進」「ヨナグニサン・与那国馬などの動物や植物の保存と活用」等、伝統芸能の継承発展だけでなく与那国島のあらゆる資源を活用した活性化を積極的に展開して参ります。

 

第六の柱は「町民がイキイキする活動支援」であります。

 私は以前から、温暖で自然に恵まれた島の特性を活かし、一年を通じて花が咲き乱れる島にしていきたい。これが、心豊かな、人間性豊かな人材を育てることに繋がるのではないかと考えておりました。また、住民の交流を活発にするために公民館の活動を推し進め、さらには、隣国台湾との交流を通じて経済の活性化に繋げることが大事だと考えております。

 具体的には、「宇良部苗畑の復活による花と緑いっぱいの島美化推進」「空き屋・空き地への花植栽およびガーデニング観光資源の実現」「積極的な台湾交流事業推進」「公民館活動の奨励」等、町民だけでなく、島を訪れる観光客や島を離れた郷友の皆様にも再度訪れてみたいという気持ちをわき起こさせる。そして、台湾との間に門戸を開くことにより日本の西の玄関口として世界に開かれた最先端の島を築き上げることを目指します。

 

そして、最後に「笑顔あふれる与那国町役場に変わる」ことであります。

 明るく楽しい与那国島を造るには、町民が行きやすい、相談しやすい役場の雰囲気づくりをしないといけないと考えます。そのためにも、先ずは役場職員が変わらなければなりません。コロナ禍状況への対応で職員の労働環境も大変厳しいものがありますが、職員一人ひとりが自覚をもって環境を変えることか大事だと考えます。

「迅速・確実・丁寧・公平・親切の実行」「公正な行政サービスの徹底」「職員のスキルアップ補助及び研修等の実施」等、今、大切なことは、職員が一体となって明るい職場づくりを実現することであります。その土台の上に、行財政、執行体制の改革があり、そして、足腰の強い自立した自治体になる事を目指します。

 

 以上、私の所信の一端を申し延べましたが、再度申しますが大切なことは、この与那国町が足腰の強い自立した自治体を目指すことです。本町においては、農水産業の復興及び振興、福祉、商工業、教育等島作り全般にわたり、多くのなすべき課題が山積しています。とりわけ隣の台湾等諸外国に向け門戸を開く施策を展開しなければならないと考えております。また、離島振興への国・県の取り組みに対して積極的な関与は重要事項と考えます。大変厳しい財政環境ではございますが、町民の皆様の生の声を町政に反映することは極めて大切なことであり、今後も初心を忘れることなくこれからも諸事業に全力を尽くす覚悟でいますので、どうかご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 本町の本年度の諸施策につきましては、鋭意検討を重ねながら進めているところであり、議員各位をはじめ町民の皆様方の格別なご理解とご協力に改めて厚くお礼申し上げます。

 特に、現在のコロナ禍の状況の中、島内におけるいち早い事態の収拾、経済の再生に向けて早急に取り組んで参りますのでご理解のほどよろしくお願いいたします。

 選挙は終わりました。ノーサイドの気持ちで、これからは議会、役場職員、全町民あげて与那国島の未来のために、そして子供達のために島を盛り上げてまいりましょう。

 

令和3年9月21日    

与那国町長 糸数健一

担当課

企画財政課
TEL:0980-87-3577