○平成27年台風第21号における住宅の応急修理実施要領

平成27年10月5日

訓令第10号

災害救助法(昭和22年法律第108号。以下「法」という。)では、「応急救助」、「自治体自らが実施する現物給付」という基本原則の下で住宅の応急修理を行なうこととされているが、この実施要領は、(平成27年台風第21号被害)における、法に基づく住宅の応急修理の取扱について定めるものである。

なお、本制度の対象となる、法の適用を受けた町は、与那国町である(平成27年9月28日適用)

1 対象者

(1) 以下の全ての要件を満たす者(世帯)

① 半壊又は大規模半壊の被害を受けたこと

当該災害により半壊又は大規模半壊の住家被害を受けたこと。

なお、全壊の住家は、修理を行えない程度の被害を受けた住家であるので、住宅の応急修理の対象とはならないこと。ただし、全壊の場合でも、応急修理を実施することにより居住が可能である場合はこの限りでない。

② 応急修理を行なうことによって、避難所等への避難を要しなくなると見込まれること

対象者(世帯)が、現に、避難所、車等で避難生活を送っており、応急修理を行うことで、被害を受けた住宅での生活が可能となることが見込まれること

③ 応急仮設住宅を利用しないこと

住宅の応急修理と重複して、応急仮設住宅(民間賃貸住宅含む)を利用することは、応急修理の目的を達成できないため認められないこと。

(2) 所得等の要件

前前年(7~12月の災害の場合は前年)の世帯収入が、以下のいずれかの要件を満たす世帯ただし、大規模半壊又は全壊の住家被害を受けた世帯については、以下の要件を問わない。

① 収入額(年収)≦500万円の世帯

② 500万円<収入額(年収)≦700万円の世帯のうち、世帯主が45歳以上の世帯又は要配慮世帯

③ 700万円<収入額(年収)≦800万円の世帯のうち、世帯主が60歳以上の世帯又は要配慮世帯

(注)要配慮世帯については、別紙1および様式第1号参照。また、年収の算定にあたっては、別紙2のとおり地方税による総所得金額に基づき算定するものとする。

2 住宅の応急修理

(1) 住宅の応急修理の範囲

住宅の応急修理の対象範囲は、屋根等の基本部分、ドア等の開口部、上下水道等の配管・配線、トイレ等の衛生設備の日常生活に必要欠くことのできない部分であって、緊急に応急修理を行うことが適当な箇所について、実施することとする。

(2) 基本的考え方

応急修理の個所や方法等についての基本的考え方は、以下のとおりとする。(詳細は、別記1「応急修理にかかる工事例」のとおり)

① 台風の被害と直接関係ある修理のみが対象となる。

② 内装に関するものは原則として対象外とする。

但し、床や壁の修理と併せて畳等や壁紙の補修が行われる場合については、以下の取扱とする。

応急修理は、一般的には、より緊急を要する部分から実施すべきものであり、通常、畳等や壁紙の補修は、優先度が低いと解されるが、壊れた床の修理と合わせて畳等の補修を実施する場合には、1戸当たり6畳相当を限度として、また、壊れた壁の修理とともに壁紙の補修を実施する場合には、当該壁の部分に限り対象とする。

③ 修理の方法は、柱の応急修理が不可能な場合に壁を新設するなど代替措置でも可とする。

④ 家電製品は対象外である。

3 基準額等

(1) 住宅の応急修理のため支出できる費用は、原材料費、労務費及び修理事務費等一切の経費を含むものとし、1世帯あたりの限度額は制度ごとに次のとおりとする。

① 法に基づくもの 567千円以内

② 町制度に基づくもの 全壊及び半壊 433千円以内

(2) 同一住家(1戸)に2以上の世帯が居住している場合に住宅の応急修理のため支出できる費用の額は、(1)の1世帯当たりの額以内とする。

(3) 借家の取扱

借家は、本来、その所有者が修理を行うものであるが、災害救助法の住宅の応急修理は、住宅の再建や住宅の損害補償を行うものではなく、生活の場を確保するものであるから、借家であっても、所有者が修理を行えず、かつ、居住者の資力をもってしては修理できないために現に居住する場所がない場合は、所有者の同意を得て応急修理を行って差し支えない。

4 手続の流れ(別記2「応急修理事務手続フロー」のとおり)

(1) 町は、被災者に対する住宅相談窓口を開設し、業者の斡旋と合わせて応急修理制度の概要を説明する。

(2) 希望する被災者は、町の窓口に応急修理申込書(様式第1号)を提出し、要件審査を受ける。町は、必要に応じて該当者への指定業者の斡旋や修理見積書等工事に必要な用紙を提供する。

※被害状況は、市町村が発行するり災証明によるものだけではなく被災台帳等により被害状況が確認できる場合は、その方法でも差し支えない。

(3) 被災者は、指定業者に、希望する修理の箇所を伝え、修理見積書(様式第2号)の作成依頼を行う。

(4) 指定業者は、住宅の応急修理の対象となる修理予定カ所と費用を記載した修理見積書を被災者に提出する。指定業者は、被災者に対して修理見積書の内容を的確に説明する責務を有するものとする。

(5) 被災者又は指定業者は、修理見積書を町窓口に提出する。町は、修理見積書の内容を確認の上、修理依頼書(様式第3号)を交付する。

(6) 指定業者は、修理依頼書が交付されたことを被災者に連絡の上、工事を実施する。

(7) 指定業者は、工事完了後、工事写真等を添付の上、町に工事完了報告書(様式第4号)を提出し、合わせて応急修理に要した費用を町に請求する。

町は、実施要領に照らし審査を行った上で費用を支払う。

なお、住宅の応急修理に要した費用のうち、1世帯あたりの限度額を超える部分については、被災者が負担するものとする。

(平成28年10月3日訓令第13号)

この訓令は、公布の日から施行する。

別紙1

要配慮世帯

要配慮世帯とは、以下に掲げるものとする。

① 心神喪失の常況にある者又は児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター若しくは精神保健指定医の判定により重度の知的障害者とされた者が属する世帯

② 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第四十五条第二項の規定により交付を受けた精神障害者保健福祉手帳に精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令(昭和二十五年政令第百五十五号)第六条第三項に定める障害等級が一級である者として記載されている者が属する世帯

③ 身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十五条第四項の規定により交付を受けた身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級である者として記載されている者が属する世帯

④ 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第三十条第一項、第三十条の二第三項、第三十条の三第一項又は第三十条の四第一項若しくは第三項の規定により障害基礎年金を支給されている者で同法第三十条第二項に定める障害等級が一級である者が属する世帯

⑤ 特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和三十九年法律第百三十四号)第三条第一項の規定によりその父母又は養育者が特別児童扶養手当を支給されている障害児で同法第二条第五項に定める障害等級が一級である者、同法第十七条の規定により障害児福祉手当を支給されている重度障害児、同法第二十六条の二の規定により特別障害者手当を支給されている特別障害者又は国民年金法等の一部を改正する法律(昭和六十年法律第三十四号)附則第九十七条第一項の規定により福祉手当を支給されている者が属する世帯

⑥ 戦傷病者特別援護法(昭和三十八年法律第百六十八号)第四条第一項又は第二項の規定により交付を受けた戦傷病者手帳に精神上又は身体上の障害の程度が恩給法(大正十二年法律第四十八号)別表第一号表ノ二に定める特別項症から第三項症までである者として記載されている者が属する世帯

⑦ 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号)第二条第二項の規定により被爆者健康手帳の交付を受けている者で同法第十一条第一項の規定による厚生労働大臣の認定を受けている者が属する世帯

⑧ 公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号)第四条第四項の規定により公害医療手帳の交付を受けている者で、同法第二十五条第一項に定める障害の程度が公害健康被害の補償等に関する法律施行令(昭和四十九年政令第二百九十五号)第十条の表に定める特級、一級又は二級に該当する者が属する世帯

⑨ 常に就床を要し、かつ、複雑な介護を要する者が属する世帯

⑩ 精神又は身体に障害のある年齢六十五歳以上の者でその障害の程度が第一号又は第三号に掲げる者に準ずる者が属する世帯

⑪ 治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病で国の施策に基づきその医療及び療養に要する費用の全部又は一部が国により負担されるものに罹患している者が属する世帯

⑫ 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)と死別し、又は婚姻を解消した者で現に婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。)をしていない者、配偶者の生死が明らかでない者その他これらに準ずる状態にある者で民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条の規定により現に児童を扶養している者が属する世帯

⑬ 父母のない児童又は父母に監護されない児童が属する世帯

⑭ 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第二項の要保護者である者が属する世帯

別紙2

収入額の算定方法

収入額の算定は、世帯が居住する住宅が被災日の属する年の前前年の収入について行うものとし、当該収入額は、「地方税法による総所得金額」が次表の左欄に掲げる額である場合の各区分に応じ、右欄の算定式により計算した額とする。

したがって、世帯の中で所得がある人全員について各々の収入額を算定し、その合計額を世帯全体の収入額として、これより認定を行う。

総所得金額(A)

収入額

97.5万円以下

(A)+65万円

97.5万円を超え、108万円以下

(A)÷0.6

108万円を超え、234万円以下

(A+18万円)÷0.7

234万円を超え、474万円以下

(A+54万円)÷0.8

474万円を超え、780万円以下

(A+120万円)÷0.9

780万円を超える

(A+170万円)÷0.95

※「地方税法による総所得金額」とは

当該収入が生じた年の翌年の4月1日に属する年度分の地方税法(昭和25年法律第226号)第5条第2項第1号に掲げる市町村民税(特別区が同法第1条第2項の規定によって課する同法第5条第2項に掲げる税を含む)にかかる同法313条第1項に定める「総所得金額」をいう。

例1:給与所得者・給与等収入金額-給与所得控除額

例2:事業所得者・収入-必要経費

なお、計算結果に1円未満の端数がでたときは、切り捨てるものとする。

別記1

住宅の応急修理にかかる工事例

1 典型的な応急修理の工事例

① 壊れた屋根の補修(瓦葺屋根を鋼板葺屋根に変更するなどの屋根瓦材の変更を含む)

② 傾いた柱の家起こし(筋交の取替、耐震合板の打付等の耐震性確保のための措置を伴うものに限る)

③ 破損した柱梁等の構造部材の取替

④ 壊れた床の補修(床の補修と併せて行わざるを得ない必要最小限の畳の補修を含む。但し、一戸当たり6畳を限度とする。)

⑤ 壊れた外壁の補修(土壁を板壁に変更する等の壁材の変更を含む)

⑥ 壊れた基礎の補修(無筋基礎の場合には、鉄筋コンクリートによる耐震補強を含む。)

⑦ 壊れた戸、窓の補修(破損したガラス、カギの取替を含む)

⑧ 壊れた給排気設備の取替

⑨ 上下水道配管の水漏れ部分の補修(配管埋め込み部分の壁等のタイルの補修を含む)

⑩ 電気、ガス、電話等の配管の配線の補修(スイッチ、コンセント、ブラケット、ガス栓、ジャックを含む)

⑪ 壊れた便器、浴槽等の衛生設備の取替(便器はロータンクを含むが、洗浄機能の付加された部分は含まない。設備の取替と併せて行わざるを得ない最小限の床、壁の補修を含む。)

2 応急修理の基本的考え方

① 地震の被害と直接関係ある修理のみが対象となる。

(例)○壊れた屋根の補修(屋根葺き材の変更は可)

○壊れた便器の取り替え(×洗浄機能等の付帯したものは不可)

○割れたガラスの取り替え(取り替えるガラスはペアガラスでも可)

×壊れていない便器の取り替え

×古くなった壁紙の貼り替え

×古くなった屋根葺き材の取り替え

② 内装に関するものは原則として対象外であるが、床や壁の修理と併せて畳等や壁紙の補修が行われる場合については、以下の取扱とする。

・壊れた床の修理と合わせて畳等の補修を実施する場合には、1戸当たり6畳相当を限度として対象とする。

・壊れた壁の修理とともに壁紙の補修を実施する場合には、当該壁の部分に限り対象とする。

(例)×壊れた石膏ボードのみの取り替え

×畳や壁紙のみの補修

③ 修理の方法は代替措置でも可とする。

(例)○柱の応急修理が不可能な場合に壁を新設

④ 家電製品は対象外である。

別記2

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平成27年台風第21号における住宅の応急修理実施要領

平成27年10月5日 訓令第10号

(平成28年10月3日施行)

体系情報
要  綱/第7編 生/第1章 社会福祉
沿革情報
平成27年10月5日 訓令第10号
平成28年10月3日 訓令第13号