2009年|豊年祭動画

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 与那国の伝統芸能

与那国島の芸能
与那国島の民族芸能には「座」という形態がある。与那国島は古くから世持制度(ドゥムティ)による集落単位の社会が構成されてきた。東・西・島仲・比川の4集落(その制度は現在の久部良集落が成立する前から存在しているため)である。世持制度は集落総代制で各集落に「座」が設けられている。「座」は舞踊・棒踊・狂言・組踊・三線(地謡)・獅子・旗頭・花座・ンナクル(船香炉)の九座で組織されていたが、現在は組踊座・花座・旗座・棒座・狂言座で形成される。各座には師匠(チス)、中師匠(ナガチス)がおり、道具の保管や芸能指導を受け持つ。昭和52年に制定された公民館制度(町を一円とする公民館の成立)により、総代制における「座」は統合される。現在は各集落の自治公民館に「座」の形が残り祭事芸能を支えている。

 与那国島の伝統芸能|地謡

与那国島の伝統芸能|三味線 与那国島の歌謡を年月を遡って調べていくと、祭事などで述べられる祝いの言葉や、祈願の言葉などに辿り着く。農耕の播種から収穫までの一つのサイクルで行われる年中行事の祈りの場で、与那国独特の方言の祝詞やタカビ(崇べ)言葉、ドゥングトゥ(読み言)などが、神と人とが交流する一つの手段であった。おそらくこれが「うた」の始まりではないかと思われる。
現在歌われている、与那国の数多くの民謡や、歌謡は与那国の厳しい歴史背景や、政治的、経済的困窮の長く過酷な抑圧の中で、それに堪え忍びながら少しでも明るく、楽しく日々を暮らそうという思いの中で豊かに育まれて来たものであるといえる。

与那国島の民謡の体系

ディラバ トゥグルダギ・バガフニ・タビガヒ・チンタティ・マダガヤ
ドゥンタ スユリディ・キユガヒ・ナガナン・カンタユ
ディラバと思われるもの ヤラクムリ・イトゥヌブディ・バガハトゥマ・ナガチディ
ドゥンタと思われるもの カミングバタ・ハイキダ・ンダタラ
弥勒関係 弥勒節・ナガク節・来夏節
他の島と共通点が多いもの ユサグイ節・ミティ唄・ンニシリ節・上納節・入船節・布晒節・御用布節・ディ唄・大原越路節
木遣関係 木遣唄・うん木遣・ハイナトナ
祝い・祭祀に関するもの 大椀・仲椀・ダートゥダギ・牛願い・雨乞い
叙情歌等 スンカニ・ミラヌ唄・トゥバルマ
童謡・子守唄 ドゥナンダギ・ターリンブルディククティ・バーミタ カミヒンナヨー・イチカヤナンティ・ダマヌ木・ウチヌハン等

与那国のうたの一例

アマグイ(雨乞い) ダマトゥヤマ カンヌマイ アーミヨーフイフーサヌ
チマカリル ミティヤリヤ クンドゥリル キワヤリヤ
バンガァニガァイ ニグガラヤ クリニガイ ニグガラヤ
グサクヌ ミディヌカミ ナナサグヌ ミディヌカミ
フラシヤヒリ カンヌマイ タシキャヒリ カンヌマイ
ニンギンマリヤ ムヌンツァヌ ウラブダギ マウイガラ
フラシャヒリ カンヌマイミトゥヌンビン フギルタン
フラシャタブリ グシュビアギラ ウラタバル ミディヌカミ
十山の神様の前 雨を降らせて欲しい
島が枯れることですから 国が倒れる際ですから
吾が願い今夜から この願い今夜から
五作の水の神 七作の水の神
降らして下され 神の前 助けて下され 神の前
人間として生まれても物を知らない 宇良部岳真上から
降らして下され 神の前 水戸の尻が穿げるまで
降らして賜れ首尾のお礼はいたします 浦田原水の神
ドゥナンスンカニ ゆなぐにぬなさぎ いくとぅばどぅなさぎ
ぬてぃぬあるあいや とぅやいしゃびら
ゆなぐにぬとぅけや いきぬみじぐくる
くくるやしやしとぅ わたてぃいもれ
なんたはまうりてぃ むちゃるさかじきや
みなだあわむらし ぬみぬならぬ
なんたはままでぃんや とぅじにうくらりてぃ
やてぃくあがりざき にんぐるぬ たまち
かたふむたしば しくしくうまりやぬ
むるふむたしば むるみぬ ぬだうとぅし
いとぅまぐいしゅらば かぬてぃがらいとぅま
あたぬんでぃふにや むぬとぅぐい やらぬよ
かでぃぬむてぃんどぅりや
にちなるみてぃんあたや
うぶはいむとぅにさんにぬだいてぃんき
みゃらびとぅたいんとぅ
ながんかいとぅんたいんとぅ
与那国の情け 云う言葉が情け
命のある間は お付き合いしましょう
与那国の渡海は池の水心
心安々と 渡っていらっしゃい
波多浜下りて持った盃は
涙泡盛らし呑むことができない
波多浜までは妻に送られて
屋手久(地名)東崎は彼女の持ち分だ
片帆持たせば つくづく想われる
諸帆持たせば 諸目の涙が出る
暇乞いをするならば 予てからいとま
明日の出船には一口もものが云えない
風がもしか北風になることがあったら
ウブハイムトゥ(地名)サンニヌダイ(地名)に
女童と二人
中迎えと三人で
クユティヤフール
フルティヤクーユ(童謡)
クユティヤフール
フルティヤクーユ
お月さまは子供
子供はお月さま

 与那国島の伝統芸能|舞踊

与那国島の伝統芸能|舞踊 与那国島の舞踊は各公民館ごとに数多く保存・継承されている。
舞踊の一つ一つに意味があり、時節や祭事に踊られるものが多い。例えば祭事の時などは東であればチディン口説、西であれば旅果報、嶋仲であればナガク節というように必ず踊られるものもある。
古くから唄と共に発展してきた与那国の舞踊は自由な形のものが多いが、時代が経つに連れ、歩調を合わせるや、手の振りを揃えるなどして洗練されて今に至る。
嶋仲自治公民館 ミティ唄・旅果報節・でぃんな節・空手・陣笠・来夏節・うぶだみてぃ節・豊年口説・かせかけ・七尺節・さあさあ節・ながく節・布晒節・御用布節・東節・大原越地節・入船節・その他
西自治公民館 みてぃ節・でぃぶでぃ・来夏節・旅果報節・与那国口説・釣瓶踊・早作田節・金武節・うんきやり・変り行くなんた浜・ばがはとま節・布晒節・屋良籠節・だーとぅだぎ・その他
東自治公民館

籠踊・御前風・地踊・しゅうら節・ちでぃん口説・釣瓶踊・早作田節・金武節・木遣り唄・与那国ぬ猫小節・与那国十番口説・ながなん節・海旅食糧精米でぃらば・かみんぐばた節・豊年歌劇・綱引踊り・その他

比川自治公民館 今日が日節・弥勒・杯持ち・籠持ち・たんたぶる・亀久畑節・古見の浦節・みてぃ節・一人棒・退場の歌(入羽)・布晒節・その他

 与那国島の伝統芸能|棒踊り

与那国島の伝統芸能|棒踊り 与那国島の棒踊りはおよそ290年の歴史がある。西暦1700年頃に首里出身の棒術者であった幸地氏が与那国に漂着し与那国島の娘と結婚した。7男1女の子宝に恵まれたが、息子たちの怪力と、気性の荒さに棒術の伝承を危惧し、一人娘にだけ棒術を伝授した。娘が嫁入りの際に道具一式を持たせたという。娘は自分の息子たちに棒術を教えたのが始まりという一説がある。当時、役人の統制、抑圧の厳しかった与那国島で、島民は役人の目をごまかしながら創意工夫を凝らし、数多くの棒術を編み出し、練習を続けたのである。以来与那国島全体に広く伝えられるようになった。
現在では、各公民館によって保存・継承されているものの一つである。多くの棒踊りは各集落共通しているものが多いが、棒のティ(打つ手)に異なりが見られる。
ダーナラシ(座ならし)   各集落で伝承
ミティアギ   各集落で伝承
一人による棒踊 6尺一人手棒 西・東・比川
砂かけ棒 嶋仲
二人組の棒踊 6尺タイティ棒 西
ンビムディ棒 西
ダング(櫂)棒 西
イララ(鎌)6尺棒 各集落
3尺イビ(子供)棒 西
3尺ウブ(大人)棒 西
ハサン(先が二又)棒 西
ティンバイ(短刀カサ・薙刀) 各集落
3尺二人棒 東・嶋仲
6尺二人棒 東・嶋仲・比川
ベラ棒
6尺薙刀 嶋仲
イララ3尺棒 東・嶋仲・比川
サグ(3尺)棒引きティ二人 東・比川
サグ(3尺)棒イララ(鎌) 東・比川
ンビフティ棒
三人組の棒踊 3尺三人棒 各集落
ハディリ棒
マラウティ棒
四人組の棒踊 6尺四人棒 各集落
四人組 比川
マーヌムヌ棒(マンナ棒) 各集落
五人以上の棒踊 五人棒 各集落
ブリ棒
3尺五人棒 嶋仲
五人棒・マティ棒・6尺イララ棒の連続 比川
獅子と共演する棒踊 チチヌ棒 各集落
ンビチ棒 各集落

 与那国島の伝統芸能|組踊

与那国島の伝統芸能|組踊

与那国島で組踊が演じられだしたのはおそらく明治初年頃からといわれている。
現存する写本などの多くも明治20年代のものでそれより古いものはないであろうとされている。

明治27年、久部良に来ていた旅人が沖縄本島で演じられている、面白い芸能があるので是非教えたいと志願した。それが本部大主という組踊だった。総代はあらすじや内容を聞き、みなで相談した結果、結願祭(シティ願)の奉納芸能を取り入れることになった。さっそく役員が手配して村人を集め、配役や係を決め稽古に励んだ。これが祖納西集落に組踊が伝えられたいきさつであると記されている。

嶋仲自治公民館 勝連の組
西自治公民館 本部大主(北山敵討)・雪払い・八重瀬・花売りの縁・護佐丸・羽衣の縁・薪取り
東自治公民館

大川敵討・手水の縁・銘刈子・伏山敵討

比川自治公民館 久志の若按司

 与那国島の伝統芸能|狂言(キングイ)

与那国島の伝統芸能|狂言 狂言のことを方言でキングイという。キングイにはいくつかの分類があるが、儀礼的な内容の狂言を「例の狂言(じーのキングイ)」・滑稽な内容の狂言を「笑し狂言(ばらしーキングイ)」と呼ぶ。
その他の分類には島の狂言とよそからの移入狂言とがある。移入狂言にはなれない言葉を使っての狂言に何とも言えない味がある。
キングイもまた各自治公民館によって保存・伝承されている。
嶋仲自治公民館 ウブンダー
西自治公民館 ウブンダー・タグトイ(蛸取り)狂言・マスタティ(塩炊き)狂言・願事の狂言・ウヤキペーチン(金持親雲上)・那良村加那・馬連りタマ・その他
東自治公民館

ウブンダー・ヒルビー(大蒜植え)・トゥダナ・馬マサ(馬廻者)・ドナイド・アサカンティ(祖父捨て)・ドゥングトゥ・仲順流れ・ソーダヌ(長者の)大主・石かま狂言・トゥーシュヌ大名・若大名・うむいとぅがに・天川狂言・ウンティンドゥヌティン(運天殿内)・フクディン(福人)・その他

比川自治公民館 アブデー・その他